毒舌、綺麗にかわされました。
「え、っと。」

急に歯切れが悪くなる私。
大路は何かを察したのだろうか。
私を抱きしめる手を緩めた。

その瞬間。

私はぱっ、と腕から逃げた。

あぁ、今思い出した。
私、抱きしめられてたんだった。

「さっ、触らないでください!変態。」

「むぅー。何だよ、美姫。さっきまでは
おとなしかったのにぃ。」

ケラケラと笑う大路。


そこに。
先程までのしんみりとした空気は全く
感じられなかった。


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