机に書いた告白
「そこに名前も無くて、
からかっているのかな~って思った。
その子の顔はばっちり見たから、その日から見かける度に様子見てたんだ。
普段友達とワイワイしていて、イタズラとかしそうじゃないのに、なんで俺の机にあんなの書いたんだろ~って思ってた。
見ている内に名前は知ったけど、向こうからこっちに接触してくる気配ないし、
何だか目撃した俺だけがその子を目で追いかけるようになった」
「ちょっと…それ…」
ガヤガヤした昼休みの教室で話すような軽い話ではない。
幸い、皆購買へ行っているようで教室の中に居る人は少なく、
矢島さんもまだ帰って来なくて、
美奈子も購買から戻ってこないから、
私たちは隣同士で2人だけで、
話を聞くような人は居ないけど。
「まあ、そのまま小学校は卒業して。
その子の名前を忘れたつもりだったけど……
高校に入って、同じクラスに居たんだもんな~
名前を聞いて一気に思い出した。
まあ聞こえてきた話じゃ、本人は誰の机に書いたのとか全然覚えてないらしいけど。
『好きな子の机に』って聞いてわかったのは……
俺たち幼いながらに両想いだったんだな~って」