オフィスの甘い獣(ｹﾀﾞﾓﾉ）

＊　＊　＊


独り寝では広いダブルベットで一夜を過ごした。

都さんが俺の部屋に来る前に、『みやこ呉服本店』に足を運ぶ。



「何なんだ！？これは…」



本店のシャッター一面にカラースプレーで誹謗中傷の言葉が描かれていた。


周囲にも野次馬が溢れる。



「…伊澤社長…」


都さんが泣きそうな顔で俺を呼んだ。




「ひどい悪戯だな…警察には届けたのか？」



「ううん…」




「…今すぐに警察に被害届を出しに行くぞ」




俺の方が焦っていた。


営業妨害されては俺の仕事にも影響が出て来る。