オフィスの甘い獣(ケダモノ)
「犯人は判ってるねん…あたしの元カレや」




「元カレ?」




俺と都さんは店の裏の工房に回った。




「…付き合ってる時はいい人やってんけど…別れた途端…人が変わったと言うか…ストーカーになってしまって…あたしも悩んでるねん」




「だったら…警察に…」




「警察にも相談した…一度は元カレに注意はしてくれたけど…それだけや」





「…」



思わぬ障害が俺の仕事の前に立ちはだかった。





「隠しててゴメンや。伊澤社長…」




気の強そうな都さんが俺の前で泣き出した。



目の前で泣く女を放置出来なかった。

俺は都さんを慰めようと自分の腕の中に引き込んだ。



倒れた母の代わりに会社を任されながらも、元カレのストーカー行為に悩み…



彼女は一人で多くの悩みを抱え…とうとう折れてしまった。



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