オフィスの甘い獣(ケダモノ)
彼は掴んでいた私の右手首から手を離した。



私は右手首を擦りながら、乱暴な彼の行動に抗議の視線を送る。




「…今日は銀縁の眼鏡か…教育ママみたいだな…お前…コンタクトにしろよ…眼鏡ねぇ方が…断然…いいぞ」



彼は私を妖艶な目つきで見つめ、距離を縮める。


朝から見る顔じゃない…



私は閉じたブラインドに背中をぶつけた。


この甘いフレグランスの匂い。



「貴方…まさか…あのBARの獣?」



「…今…気づいたの?鈍いなぁ~」


揶揄を込めた笑いが漏れる。







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