オフィスの甘い獣(ケダモノ)
「立脇さんの怪我が治れば…私は和さんの元に戻ります…」



「待ってるよ…」



「待っていて下さい…」



『待っている』と言いながらも不安げな和さんの瞳。



逆の立場なら私も不安だーーー・・・




「今夜は帰したくない…ダメかな?」




和さんは私を誘う。
和さんの久しぶりのお誘い。
私は一度、お誘いを断った。
あれから何日経ってるだろう…


誘われただけで身体が熱くなっていく。

互いに忙しくて蜜な時間を過ごすヒマだとずっとなかった…



「…佑月を抱き締めたい…」



和さんが私を求める。その瞳は切なげだった。


「私も抱き締められたいです…」
私も恥ずかしいけど、和さんに抱かれたかった。

心も身体も和さんと一つになりたいと思う。


和さんがそっと私の肩に乗せた手に力を込める。


私たちは蜃気楼のように揺らめくネオンの中に消えた。

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