オフィスの甘い獣(ケダモノ)
カフェの窓越しに、クリスマスを匂わせる幻想的な街路樹のイルミネーションの光を眺める。



今年のクリスマスは違う。

家族ではない恋人と呼べる男性と初めて過ごす。



「あ、クリスマスプレゼントは何がいい?佑月」



「私は別に…何も要りません…和さんは何が欲しいですか?」



「俺?俺も別に…佑月と過ごせる時間だけでいい」



和さんは瞼を伏せ、私に長い睫毛を見せてカップの熱いコーヒーを喉に通した。


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