オフィスの甘い獣(ケダモノ)
二人でゆったりとした時間を過ごしていると、



テーブルに置いた私のスマホが光を点滅させて振動する。




臣さんの合図だ…




「もう時間か…もう少し…ゆっくりしたかったけど…そうは問屋が卸さないか…行こうか?佑月」




「はい」




私たちは飲みかけのドリンクを置いて腰を上げた。




和さんのポケットから取り出された長財布。



皮の財布だけど…使い込んでいるのかボロボロだった。




「…ボロボロだろ?」




和さんは長財布を見つめる私の視線を感じて問いかける。




「はい」



「そろそろ…買い替えたいけど…まだ、使えるかなぁと思ってついつい…」




「モノを大切する人…私…大好きですよ」


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