オフィスの甘い獣(ケダモノ)

臣side~

有楽町。


地下鉄出口から直結した場所に位置する高層ビルの8F。



俺は本場のイタリア料理を舌鼓しながらダーツやカードゲーム、ボードゲーム、ビリヤードなどが誰でも気軽に楽しめる都会のオトナの夜の遊び場に居た。




「…臣がひと目惚れ?」




俺と同じ顔が苦笑していた。




「おいおい…もう…酔ったのか?臣」




「俺は素面だ…」


全面硝子の前にズラリとダーツの的が並ぶ。


夜景を見ながらダーツが楽しめる乙な場所。



でも、俺は見つめるのは夜景ではなくダーツの的だったーーー・・・


ハイネケンを口にしながら…ダーツの的に向かって矢を投げる。



矢は吸い込まれていくように狙った箇所に突き刺さった。




俺の目の前に居るのは一卵性の双子の弟・伊澤和(イザワカズ)



俺たちの両親は14歳の時の離婚。
俺は母に、和は父に引き取られた。


双子である俺たちは離れ離れになったが…互いに連絡は取り合った。


ついこの間まで…和の経営するコンサルティング会社で仕事も一緒だった。


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