オフィスの甘い獣(ケダモノ)
和さんと腕を組み、クリスマスで賑わう街を歩く。


私達の脇を何組ものカップルが楽しそうにすれ違う。



「…今まで一番…楽しいクリスマスかもしれない」


「そうか?」


「うん…」



「俺もそうかもしれない…でも、恋人同士として過ごせるクリスマスは最初で最後だ…」



「えっ!?」



和さんの言葉で澄んでいた私の心に暗雲が立ち込める。



「なんで…悲しそうな顔するの?」




「だって…最初で最後だって…」




「俺たち…来年には多分、夫婦になってると思うからな…だから…最初で最後だ」




「…それを先に言ってよ!!」



私は頬を膨らませて向きに怒った。



私に意地悪をするのは和さんの十八番。


「…ゴメンゴメン…」


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