オフィスの甘い獣(ケダモノ)
挙式の時間が近づいてくる。



「そろそろ時間だな…」



お義父さんの繁(シゲル)さんがソファーを立つ。


繁さんのコトはお義父さんと呼べるんだけど…



「行くわよ…佑月」



「うん」



「また、後で…」



渉さんはにこやかに手を振る。


口許の微笑には至福の欠片が零れていた。


私の胸はキュッと締め付けられ…苦しい思いで満たされる。


このまま…この思いを施錠するコトに抵抗を感じた。



でも、告げても…返事は決まっている。



渉さんにはこれから永遠の愛を誓う相手が居るんだから…



例え、自分の想いを告げても失恋は決定している。





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