オフィスの甘い獣(ケダモノ)
俺は立派な革張りの椅子に腰を据える。

己の椅子だと理解するのに少々時間はかかるが…

佑月の読み上げるスケジュールをしっかりと頭に叩き込んだ。




「…以上です…で、これが9時半からの幹部会議のレジュメです」

佑月が俺にレジュメを渡した。


「サンキュー…」



「やはり…狭いな…」




「えっ?」




和のオフィスは何もないクセに…スペースだけが無駄に広かったせいか。


副社長室が狭い空間に見えて仕方がない。



「副社長?」



佑月は小首を傾げ、俺を見つめる。



「細谷…コーヒーを淹れてくれ」




「承知しました…」



コーヒーはセルフじゃあないのが…嬉しい。



9時半から…幹部会議が…

俺は佑月のコーヒーを待つ間、レジュメに目を通した。



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