オフィスの甘い獣(ケダモノ)
* * *



「緊張した・・・」


副社長室に戻った途端、臣さんは自分の椅子に座り…デスクに突っ伏せる。



会議室では緊張感を感じさせない堂々とした姿を見せていたのに。



私の心臓だって鼓動が跳ねあがった。



でも、今の彼はリラ○クマのようにだらけた間抜けな表情をしていた。





私はブラインドのルーバーの向きを変えて、間抜けな副社長の姿を他の人に見せないように気を配った。




「…俺と二人の世界に浸りたいのか?」



「違います!今の副社長の顔が余りにも間抜けですから…隠しただけです」


「…そんなに間抜けな顔していたか?」



「はい」



「そっか…気を引き締めないとな…」



臣さんは顔を上げて自分の頬をパチパチ叩いて、緩んだ顔を引き締める。






< 55 / 318 >

この作品をシェア

pagetop