オフィスの甘い獣(ｹﾀﾞﾓﾉ）

「…副社長ってなかなかのイケメンですね…」



「あ、そうかな？」



「…細谷先輩…副社長の気を惹こうと眼鏡止めて…コンタクトにしたんでしょ？」



「それは…副社長の命令で…」




「命令？」

南さんは首を傾げて神妙な表情を浮かべた。




「…何て説明すればいいのかな？」



「…細谷先輩…眼鏡…着けない方がいいと思います…」



「私もそう思ってたけど…眼鏡なしの細谷先輩には太刀打ちできないなぁ～」



「えっ？」



「…細谷先輩って元が綺麗だから…階下の男性社員の中にも細谷先輩に思いを寄せる人がたくさん居るって噂されているんですよ～」

佐々木さんは私に羨望の眼差しを送った。



そんな噂…あるの？？



もしかして私って…眼鏡を着けているが為に…チャンスを棒に振って来たワケ？