オフィスの甘い獣(ケダモノ)
「…私…今日は早退させて頂きます!貴方と一緒には…仕事出来ません…」



俺は彼女のデスクに歩み寄って腕を掴む。


「待つんだ…細谷」



彼女の頬にはくっきりと涙の筋が入っていた。



俺の指先は彼女の涙で濡れた頬に触れる。



「ふ、副社長…この場所は誰かに見られます…」



「…何処なら見えない?教えてくれ」



彼女は観葉植物を指差した。



「…俺の話…少しは訊いてくれるんだね」


「・・・」


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