もう一度愛してくれますか?
全てが…一瞬だった。



いや、嫌なぐらいにスローモーションで俺の目には全てが映った。



車がそのまま美月の元に突っ込み、美月を勢いよく跳ね飛ばして。



美月は反射的に男の子を抱きしめ、守っていた。



あれは俺がしないといけねー役なのに…



俺が美月と…美月と男の子を…



守らねーといけないのに…



ここに茫然と立ち尽くしている俺は何なんだ?



何のために美月の側にいたんだよ。



美月の…不自然に曲がった体と、たくさんの血。



嫌なぐらいに鉄のにおいが広がっていく。



「美…つき…おい、起きろよ…なぁ…みつき…っ?」



やっと動き出した俺の足は、美月の元へと向かう。



美月…美月…



なんで、こんな…。





俺、遅せーよ…



今頃、美月の元へ行って…頬を触って…



何やってるんだよ……俺。



おせー…。全てがおせーんだよ…。



こいつを守れるのは誰だよ



こいつと一緒にいたのは誰だよ



こいつの彼氏は誰だよ



こいつに…“何があってもお前を守る”って言ったのは誰だよ



…俺だろ?



全て…俺じゃねーか。



俺がもし、こいつを助けていれたら…



俺が…。



「うわぁぁぁああぁあああぁぁ――――――――――――っっ!!!」



美月…美月…美月…っ



返事をしろ…目を開けろ…っっ



お願いだから、もう一度、いつもみたいに可愛い笑顔で…



「まーしろ♪」



って…



「真城、大好きっっ♪」



って…



言ってくれよ…。
< 24 / 45 >

この作品をシェア

pagetop