もう一度愛してくれますか?




「…ねぇ、優羽くん。もし、目が覚めるとしたら、やっぱり……美月は悲しむよね。」



「…あぁ。世の中残酷だ。恨むことが出来ねーのが悔しいよ。」



そういってボスッっと美月の寝ているベットの足元へと優羽くんは腰かけた。






何度。ここへ足をふみ入れただろう。



繰り返しのように過ぎていく毎日に嫌気をさしながらも…



ここへは絶対、立ち寄った。




私も、優羽くんも。



少しの期待を…。



“いつかきっと目覚める”と信じて。







「……美月?」



「ん?どーかした?」




優羽くんが不思議そうな…悲しそうな表情をする。




「…いや、一瞬苦しそうな顔付きに変わったような…。」




バッと美月の顔から機械に目を移すと同時に、



不快な機械音が静かな空間を包みこんんだ。




―ピ―――――――――――――――――ッ




さっきまでリズムよく鳴っていた音は瞬時に1音へと変わる。



「美月っっっ!!!!?」



急いでナースコールを押し、手を握り締めた。




まだ温かい…。



命はある。





お願いだから目を覚まして?





今日は美月の生まれた。おめでたい日なんだよ?



生まれた日に命火落としちゃ駄目だよ、美月…。



それに…





「美月!!目を覚ませ!聞こえるか!?頑張れよ!!おいっ!…」





ほら、こんなにもあんたの事を必要としている人が、側にいるじゃん。




そして、私も。







お願い…、お願いします…。



「「目を覚ましてっ!!!/目を覚ませっ!!!」」





――――――ピッ…ピッ…ピッ…












「――――――ふー……か?…ゆー……?」



かすれたような…でも、少し大人びた…





美月の声が耳に響いた。
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