もう一度愛してくれますか?
…えっ?今の声…。




私はギュッと閉じていた瞼を怖々と開けた。







目の前にうつったのは、2年間待ち詫びた光景。




美月が光の灯った瞳でこちらを見つめている。





「…っ!美月っっ」



奇跡だ…っっ、奇跡が起こったんだ…っ!!




ありがとう…ありがとう…神様っっ



…ありがとうございますっ






反射的に私と優羽くんは美月を抱きしめて。




「…え…へへ…。苦しい……ょ?」



そう言いながらも、私達の間でニコニコ笑っている美月。




誕生日にこんな奇跡が起こるなんて…



涙が出そうになるのをグッとこらえる。




「私を悲しませないでよ、バカ!


さっきなんて、心臓止まりかけたじゃんっ」




「ほんと、驚かせんな!w でも…、」





「「おかえり、美月っ」」



「ふふっ…ただい…まっ!」




久々に見た、美月の笑顔は美しくて。




2年前は可愛かったけど…



美人になったね、美月。




寝ている間にも、成長はするんだ…。



よかった。







おかえり、美月。



もう、楓華の側から離れないでね。



美月の撥ねられた日、どんなにショックを受けたか、わかる?




2週間ぐらい不登校になったぐらいだよ。




でも、優羽くんのは敵わないや。



ほんと優羽くんは美月の事になると真剣だもんね。




すっごい落ち込んでいたよ。



なのにさ、楓華を励ましてくれた



自分の事で精いっぱいだろうに。






そして、一之瀬くんは…。






美月、よく頑張ったね。




お疲れ様。




…まだ、いいよね、話さなくても。




少しの間の安らぎを…美月に与えてあげたいから。




きっと、この話を聞いてしまえば、苦しむから…悲しむから…






だから、まだ言わないよ。





美月が話をきりだす、その時まで。
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