もう一度愛してくれますか?
~楓華side~




「…よかったのか?森咲。」





美月の病室を出てからずっと唇を噛んでうつむいている楓華に
優羽くんが声をかけてくる。





「そ…だよね…。ごめん、いきなり帰るなんて言って…。」




美月、不審に思ったよね。





ごめん…。





「俺はいいけど…。真城の事、聞かれると思ったか?」





「うん…。楓華、まだ美月の前で一之瀬くんの事話す勇気ない…。」




楓華たちの高校は元々2人の志望校。





美月は覚えているかわからないけど…。





もし、覚えているなら、美月はきっと彼の事を聞いてくる。





楓華は…





楓華はそれに答える勇気なんてない。





美月が悲しむことをわかった上で話すなんてできないよ…。






「そっか。俺も美月にはまだ言えねーよ…」





「うっ…ぐす…っ。美月が…目覚めて嬉しい…っのに…ひっく……素直に…喜べないっ…よ…ぉ」





「わっ!ちょ、泣くなよ。俺が泣かしたみたいじゃん…!」





「ごめん…なさ…い…」





急いで涙を拭き取る。





「…大丈夫。森咲だけじゃない。俺だって一緒だよ…。」





優羽くんはそう言ってポンポンと頭をなでてくれた。






…そのぬくもりは暖かくて、すごく安心できた。
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