何故、泣くのだ。
人の声は段々こちらへ近づいてくる。
二人。三人。いや、四人だ。
男四人分の声が聞こえる。
わからない、黙っているだけでまだ他に
人がいるのかもしれない。
けれど、すぐそこの曲がり角まで来たような
足音はそんなに人数が居ないことを教えてくれていた。
私の足元にいる、小さな子猫は茂みの隙間から
人の気配がする方を瞬き一つせずに、睨み続けていた。
私も茂みの隙間から、用心深く曲がり角を
見つめ続けた。
「…………の……ど………け……」
「……そ…………あ………た……」
声の主たちが曲がり角から姿を表した。
何人いるのか、どんな顔なのか確認しようと
目を凝らして見る。
四人だ。間違いない。それはわかった。
でも、何か違う。何が違うのか。
そう考えている間にも声の主達はこちらへ近づいてくる。私は、息を潜めた。
彼等の話している内容が難なく聞き取れる程にまで距離が縮まった時にやっと、彼等の何処がおかしいのかようやく解った。
着物だ。彼等が身に纏っている衣服が、
洋服ではなく、和服だ。
それだけではなかった。
髪型もまた、実に斬新である。髷であった。
1人だけ若い青年がただ後ろで高く一つに結ってあるだけだったが、他の三人は確かに髷だ。
彼等は腰に刀をぶら下げ、草履を履いていた。
なんなんだ、こいつらは。