何故、泣くのだ。

私は、ここでそそくさと
彼等の前へ現れて今の状況を
慎ましく尋ねるという案を思いついた。

しかしそれでは、
相手方が驚いて何も言えぬまま
切り刻まれるような気がしてならない。

それでは、
ここで彼等と戦い、一旦は身なりを
整えてから街を探しあて、
そこで様子を見ようか。とも思った。

しかしそれもまた、
四人の立派な男に一人で立ち向かうなど、
そんな肝の据わったことは
出来るわけがない。ましてや、
此方は丸腰、彼等は真剣らしき物を
腰から提げていらっしゃる。

無理だ。

そこで思いついたのは、
一旦、あの男達の後をつけ、
人通りの多い街まで案内してもらう
という策だった。

彼等が人通りの多い街へ向かっているかは
定かではないが、この案が一番
安全で、無難なような気がする。


そこで、とりあえず私は
男達の後を追いかけてみることにした。
何処か、街か何かに向かえるかも
しれないし、ここが何処か手がかり
も掴まなければならない。

私は子猫を片腕に抱き抱え、
茂みに隠れ隠れ、彼等を追った。

此処が、あの世ではないことを、
密かに祈りながら。

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