何故、泣くのだ。
やはり、そういうことなのだ。
私は誰にも必要とされることはないのだ。
わかってはいたけど、やはり、
本人の口から聞くと、クる。
気持ち悪い。吐き気がする。
鼓動が荒くなる。血が騒ぐ。
ガタンっ。
「んー??りょぉうかぁ??いるのぉ?」
携帯を落としてしまった。
もう、ここに居れないと思い、掛けてある
コートを引ったくるようにとって、
廊下に出る。
走り出したと同時に部屋から様子を見に
出てきた男とぶつかったけど、どつく様に
押し退けて外へ飛び出す。
それから、私は走った。訳もなく走った。
頭の中がごちゃごちゃだ。混乱する。
そうか。私はいらない人間だったのだ。
結局誰にも必要とされることはなかったのだ。
わかっていたのに、なぜ。
こんなにも虚しくて、こんなにも絶望感に
襲われるのか。それさえもわからない。
私は、この空虚感を紛らわせたくて、
こんな時間でも人の多い繁華街へと足を運ぶ。
でも、それはそれで1人でいる自分が虚しくて
人気のない先の見えない路地へ入った。
少し奥に入ると、屋外階段があって、
その一段めに腰かける。
「はぁ……」