コスモス〜遠くの君へ〜
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「…橋本は昨日、事故で亡くなった」
今日はあいつ、学校に来ないのかなと考えていたら、朝のHRで担任は静かにそう言った。それを聞いた途端、教室中がザワザワとしている。中には涙を浮かべている子もいた。
あいつが…事故で…?
う、うそだろ…。そんなに簡単に死ぬわけないだろ…。
「先生…交通事故ですか?」
クラスメートの一人がそう尋ねると、担任は首を横に振った。
「家のベランダから誤って、転落した…んだ」
て、転落っ!?ベランダにある花に水をあげようとして落ちたのだろうか…。
「環境整備委員の須藤。彼女の机に花を供えてくれるか?」
「え…はい…。分かりました」
環境整備委員…。俺が、あいつに…花を…。
俺はその時、ふと、ある花を思い出した。コスモス…。それは、あいつと二人で育てた花。
「先生…供える花は下の花壇に植えてある花で良いですか?」
「橋本が喜ぶなら良いんじゃないか?須藤」
「ありがとうございます」
放課後、俺は学校の裏庭にある花壇に行った。
コスモスは毎日、俺と橋本が水をあげていたから相変わらず、元気に咲いていた。俺はその中から、数本摘み、教室に戻った。花瓶に水を入れ、そっとコスモスの花を挿した。そこまでは良かった…。良かったはずなのに、誰もいない教室でこうしていると今まで、抑えていた感情が溢れ出し、俺の両目からはポロポロと涙がこぼれた。そのこぼれた涙は俺の頬を伝い花瓶の中に落ちていく。
あいつの笑った顔や怒った顔…が涙を花瓶に落とす度に、俺の脳に浮かんでくる。
もう、逢えない…。もうあの表情を見る事が出来ないのか…!このコスモスのように笑うあいつに!涙を堪えようと必死に口をつむんでも涙はとまらない…。
俺…好きだったんだ…。
あいつの事…好きだったんだ…。
「俺…。お前の事…好きだったんだ」
俺はあいつに言うように、コスモスにそんな事を言っていた。もしかしたら、あいつに届くかもしれないと思って…。
すると、それに反応するように、コスモスの花がかすかに揺れた気がした。まるで、あいつがそこにいるかのように…。
今日はあいつ、学校に来ないのかなと考えていたら、朝のHRで担任は静かにそう言った。それを聞いた途端、教室中がザワザワとしている。中には涙を浮かべている子もいた。
あいつが…事故で…?
う、うそだろ…。そんなに簡単に死ぬわけないだろ…。
「先生…交通事故ですか?」
クラスメートの一人がそう尋ねると、担任は首を横に振った。
「家のベランダから誤って、転落した…んだ」
て、転落っ!?ベランダにある花に水をあげようとして落ちたのだろうか…。
「環境整備委員の須藤。彼女の机に花を供えてくれるか?」
「え…はい…。分かりました」
環境整備委員…。俺が、あいつに…花を…。
俺はその時、ふと、ある花を思い出した。コスモス…。それは、あいつと二人で育てた花。
「先生…供える花は下の花壇に植えてある花で良いですか?」
「橋本が喜ぶなら良いんじゃないか?須藤」
「ありがとうございます」
放課後、俺は学校の裏庭にある花壇に行った。
コスモスは毎日、俺と橋本が水をあげていたから相変わらず、元気に咲いていた。俺はその中から、数本摘み、教室に戻った。花瓶に水を入れ、そっとコスモスの花を挿した。そこまでは良かった…。良かったはずなのに、誰もいない教室でこうしていると今まで、抑えていた感情が溢れ出し、俺の両目からはポロポロと涙がこぼれた。そのこぼれた涙は俺の頬を伝い花瓶の中に落ちていく。
あいつの笑った顔や怒った顔…が涙を花瓶に落とす度に、俺の脳に浮かんでくる。
もう、逢えない…。もうあの表情を見る事が出来ないのか…!このコスモスのように笑うあいつに!涙を堪えようと必死に口をつむんでも涙はとまらない…。
俺…好きだったんだ…。
あいつの事…好きだったんだ…。
「俺…。お前の事…好きだったんだ」
俺はあいつに言うように、コスモスにそんな事を言っていた。もしかしたら、あいつに届くかもしれないと思って…。
すると、それに反応するように、コスモスの花がかすかに揺れた気がした。まるで、あいつがそこにいるかのように…。
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