〖短編〗アオゾラ。―101ページの思い出―
Ⅳ 4年後
迎えにきた
〝4年後〟
「今日は、高条符和さんのお誕生日です!」
施設の人が言った。
どうやら今日は、わたしの二十歳の誕生日らしい。
もう、20歳か。
こんな病気になってから、どれくらいたったんだろう。
そして、なぜわたしはずっと、あの曲を聴いているんだろう。
あれはわたしの声だし。
きっと忘れたことの一部だろう。
でも、不思議。
この曲を聞くと、暖かくなれるの───…。
それから、家族は未だにわたしを支えている。
しかし、わたしは家族を家族と分からないのだ。
「ハッピーバースデートゥーユー、
ハッピーバースデートゥーユー、
ハッピーバースデーディアふわちゃーん…
ハッピーバースデートゥーユー!」
わたしはろうそくの火を消すと、皿に盛られたケーキを口に含んだ。
甘い味が、口の中にひろがる。