〖短編〗アオゾラ。―101ページの思い出―
ガチャ
「あ…」
すごい、思った通りの人。
キラキラしてて、楽しそう。
「…すごい」
ワタシが入ったことに、誰も気づかないくらい、皆が彼のキーボードに魅せられていた。
演奏が終わると、拍手の嵐が起きた。
そして、みんながぞろぞろと帰っていく。
途中で数人がこちらをみた気がするが、そんなのどうでもいい。
わたしはそこから動けずにいた。
すると、キーボードの人と目が合う。
一ノ瀬さんは、ゆっくりとこちらにやってきて
「おい、演奏は終わった。
さっさと帰れ。」
と、言った。
まだ、どきどきしてる。
この胸の高鳴りはきっと…
「恋?」
「はぁ?」
しまった、口に出てたか。