〖短編〗アオゾラ。―101ページの思い出―
…つもりだった。
ガシッ
先輩に腕を掴まれる。
バレちゃったかな、わたしが一ノ瀬先輩のこと好きって…
だから、きっと怒ってるんだろうな。
「符和ちゃん…
…彼はキーボード弾かないよ?」
…はっ?
「いや、弾いてるじゃないですか!!」
「それに、なんで俊が出てくるか分かんないんだけど…」
「それはっ…!!
一ノ瀬先輩が、好きなんじゃないんですか…?」
「あたしが!?
俊を!?
ナイナイ!!!
ぜっっったいありえないわー!!」
東先輩は、豪快にゲラゲラと笑った。
え、じゃあ東先輩が好きなのって…
誰!?
「せ、先輩の好きな人って…
一ノ瀬先輩じゃなきゃ誰なんですか!!」
「え、あの…えと、ベースの、桜木くん…」
ええええええ!?
「あの、クールなイケメンさんですか!?」
「う、うん…///////」
じゃあ、盛大なわたしの勘違い…
「ぅぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ…」
ぷしゅー、と音をたてて、顔から火が出た。
「でも、勘違いするって事は…
俊のこと、好きなの?」
ば、ばれちゃったし…
「う、はい。」
「そっかー。
あっ、あたしと俊が仲いいのは、幼なじみだから!
ちなみに、あたしに頭が上がらないのは昔っからだよ?」
…あれは幼なじみだったからなのか。