〖短編〗アオゾラ。―101ページの思い出―
わたしは、耳をそばだてた。
「だって、アイツ記憶力良いはずなのに、最近忘れっぽくねーか?」
「そう?」
「あぁ…。
オマエ、なんかしらねぇ?」
東先輩を信用してないワケじゃない。
だけどやっぱり、不安だ。
「知るわけ無いでしょ。」
…よかった。
「でも、オレのこと好きって、毎日告白するって言ったのに、
今朝会ったとき忘れてたっぽかったし。」
バレてたのか…
「あたしに聞かないでよ!!
本人に聞けば?」
東先輩、ごめんなさい。
嘘をつくのは、苦しいよね。
「てか、それって告白されるのを待ってたってことじゃないの?
俊、アンタホントは符和ちゃんのこと好きなんでしょ?」
え、ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええ!?
な、ないないない!!
「違うに決まってんだろ。」
「えー?
もう、付き合ってあげなよ!!
符和ちゃん可愛いし優しいし、文句なしじゃん!!」
東先輩それは言いすぎです。
「あ、ねぇ、符和ちゃんからなんて告白されたの?」
「あ?
関係ねーだろ。」
な、なんだか話がおかしな方向に…
よし、入るなら今しかない!
「失礼しまーす!!
あれ、先輩!
早いですねー!!
わたしが一番かと思いましたよー!!」
「あ、高、条…」
「符和ちゃん…」
「あれ、どうしたんです?
そんな辛気くさい顔して。」
わたしに聞かれてないと判断したのか、あからさまに先輩たちはホッとした。
「さぁ、練習を始めましょう!」
その後の一ノ瀬先輩こらの視線が痛かったが、なんとか我慢した。