〖短編〗アオゾラ。―101ページの思い出―
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「それでは、学園祭について説明します。」
忙しかった時期をぬけて、学園祭の準備が始まった。
もちろん軽音楽部はステージにてライブだ。
(忘れないようにしなきゃ…!)
わたしは説明されたことを一字一句同じように書いていった。
…そして、買い出し担当はわたし。
最悪。
ただでさえ忘れちゃうのに。
「え~っと…」
わたしはスーパーにて、メモ帳と睨めっこしていた。
「へー、お前んとこスイーツ店やるんだ。」
背後からの低音ボイスにゾクッとしながら振り返ると。
「い、一ノ瀬先輩!?
なんでここに…」
「買い出し。
オレも。
…って、オマエが今日買う分10個しかねえじゃん!!
こんぐらい余裕で覚えられたろ?
なんでメモったんだよ?」
「…か、確認のため、です…」
「確認、ね。
じゃあ最近忘れっぽいのはなんなわけ。」
き、きた…!
「そうですか?
きっと気のせいですよ、ハハハ~…」
「嘘つくな。」
なんで、バレちゃうんだろう…
でも、先輩のこと忘れてしまうなんて言えない。
どんな反応で返されるかが怖い。
「…先輩、好きですよ。」
「知ってる。つか、話逸らすな。」
わたしは買うものをカートに入れ、会計をさっさと済ませてスーパーの外に出た。
「おいっ!!
待てよ、まだ聞いてないぞ!!!」
…しつこいなぁ。
話せないものはしょうがない。
「…荷物、持ってやるから貸せ。」
「また『貸し』ですか?」
「カウントしないどいてやるよ。」
「じゃあお願いします。」
「…ん。
で、なんで最近メモ帳を肌身離さず持ってるわけ?」
だから、言えないんですって。