〖短編〗アオゾラ。―101ページの思い出―
…終わっちゃった。
わたしの、学校生活。
…あーあ、全部忘れちゃうんだなぁ。
でも、この歌だけは。
…毎日、聞こう。
「ただいまー…」
「ねぇちゃん…」
「符和…」
お父さん、お母さん。
それに、弟。
こんなに心配してくれてる。
でもわたしは、みんなのこと忘れちゃうんだなぁ…
「大丈夫だよ!!
行こっか!!」
…せめて、笑顔で。
「あぁ…っ、符和、ごめんな…っ!?」
「お父さん、謝んないでよ~!!
そりゃ、病院食は不味いかもだけどさ!!
学校さぼれるし、お年寄りと話すのも楽しいよ!!」
「…符和、いこう。」
こうしてわたしは、病院へと向かった。
そして、もう二度とこの景色を見ることはないだろう。
わたしは、一日でも忘れる日を遅らせようと、必死で景色を眺めていた。