キケンな恋心
「えっ?」
沙也加は言葉に詰まった。
「......どうしてここに?......」
沙也加がヒロトの顔を見ると、ヒロトは参ったなぁ......という感じに花岡に近づいて行った。
花岡はカウンターに腰を下ろし、ギムレットを飲みながら、こちらを見てにやけた。
「以外な組み合わせね!」
花岡はしてやったり!と言わんばかりに勝ち誇った顔をして言った。
「このお店、ヒロトとよく来るのよ。知らなかった?谷村さん」
沙也加はドキッとした。
......どういう意味?......
「お前さぁー」
ヒロトが切り出した。
「どういうつもりだ?」
ヒロトの顔もまた、にやけた余裕の表情だった。
「最近、ヒロトなんかおかしいから、女の直感よ」
「......せ、先生?どういうこと......なんですか?......」
一気に酔いが醒めた沙也加は事態が飲み込めていない。
「だから、私がヒロトの愛人よ。あなたは、ヒロトのただの遊び」
みるみるうちに、沙也加は血の気が引いていくのが自分でもよく分かった。