先輩と私。
すると、ふいに騒がしい声が聞こえてくる。
振り返れば、着替え終えた部員達が部室から出てきたところだった。
元気だなぁ……。
そんな姿を見て、あたしは思わず小さく笑みを漏らす。
「あれ、梨乃ちゃんまだ残ってたの?」
一人の先輩があたしに気づき、話しかけてくれた。
「はい。
あの、キャプテンにちょっと話があって……」
「あぁ、ヒロならまだ中にいるよ。
もう着替えてる人いないから中入って大丈夫だと思うけど」
「ありがとうございます」
先輩はあたしにそう教えてくれると、また明日ね、と手を振りながら帰っていった。
また明日……か。
……きっと明日の今頃にはあたしはこの部の人間じゃなくなってる。
……そうなれば、先輩達と会う機会なんてほとんどなくなってしまう。
帰っていく先輩達の後ろ姿を見つめながら……あたしは胸が苦しくなるのを感じた。