御劔　光の風３
ここはきっと単純な言葉で言うならば普通の世界ではないのだろう。

まるでオモチャの中にいるような感覚にもなるが巨大な振り子時計がそれを否定しているようにも感じた。

そんな安易なものではないのだと叱られている感覚に陥るあたり完全にカリオに圧倒されているのだと日向は頭を掻く。

空から視線を逸らすと貴未の胸にかけてある〈永〉が淡い光を放っていることに気が付いた。

「ここがカリオなのね。昔貴未に聞いた通りの景色だわ。」

マチェリラの声がする。

どうやら圭がいなくても話はできるらしいと日向は驚いているが、話しかけられている貴未は何の疑いもなく彼女の声に頷いた。

そこまでの余裕がないのか慣れているのかは置いて、日向をさらに圧倒させるには十分な状況だ。

「やっと…帰ってこれたんだ。」

そう絞り出した貴未の顔は笑っていた。

目の前に広がる景色から逸らせない、瞬きするのも惜しいほどにひたすら瞳に映し続けている。

懐かしい気持ちで溢れて言葉にならない感嘆を叫びながら思い切りはしゃいで騒ぎたい気分だった。

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