御劔 光の風3
お互いに隠していることは山程ある、それをお互いが知っていた。

そしてその情報を分かち合わなければいけないことも感じていた。

巻き込む巻き込まれるの話ではないのだと、あの太古の因縁は決して過去の話ではなかったのだ。

「後はカルサトルナスが収めてくれる。」

マチェリラの言葉にカルサは目を細めて苦々しい表情をした。

「貴方は統治するではなく…この事態を収めるということだったの。」

マチェリラが視線を向けてもカルサは窓の外を向いて合わせようとしない。

今のマチェリラはその逃げを責めるつもりはなかった。

どこまでも卑劣な女だと心の中で毒を吐いて長い息を吐く。

そうしないと心が乱れてどうしようもなかった。

「まずは私から話した方が良さそうね。」

話を切り出したのはマチェリラ、カルサの腕の上にいた竜はいつのまにか彼の肩に移動していた。

「その前に…兄は…フェスラの行方は知らない?」

カルサは静かに首を横に振る。

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