御劔 光の風3
いや、そんなことを願う余裕もないままに歯車は次へと動き始めて意識が途絶えたのだ。

「気付くと私は未来のあの世界に飛ばされた。」

心も身体もぼろぼろになり疲れ果てた末に、マチェリラは本来の白い竜の姿でどこか草村に倒れていた。

身体中が傷や血まみれだった。

「もう気力もなくて…何も考えられなかった。ただ涙が流れて地面に身体を預けていたの。」

どれほどの時間が流れていたのだろう、眠っていたのかもしれない。

人の気配がしてマチェリラはゆっくりと重たい瞼目を動かして視界を開けた。

「生きてる。はるか、この竜まだ生きてた。」

少年が目の前に屈んで覗きこんでいる。

服装や雰囲気がまるで違い、ここが別の世界で未来に飛ばされたのだと分かった。

目の前にいる少年はあどけなさがある、まだまだ幼い子供だった。

「本当だ。たかみ、見て!いっぱい怪我してるよ?」

はるか、と呼ばれた同じくらいの年の少女は目の前にいる少年をたかみ、と呼んだ。

少女がやさしく竜の姿をしたマチェリラの身体を撫でる、少年はその姿を見ていた。

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