御劔 光の風3
生かされた意味を考え、自分に与えられた役割を果たす為に生きてきた。

「人に合わせ身体を老化し、やがて姿を消す。何度も繰り返しいつまで経っても終わらない人生に疲れていた。」

そうまでして生きていく価値はあるのだろうか。

それでも皆、マチェリラを求めてきた。

癒しの象徴として、希望の象徴として、救いの象徴として、皆がマチェリラの存在を求めてきた。

彼らが差し出す手はいつかの出来事を思い出させるほど己の欲にまみれている。

マチェリラは争いにもなりかねない自分の存在に耐え切れずその地を離れた。

遠く離れた場所で、ただ一人になりたい。

もう生きることに疲れたマチェリラは死をも選ぼうとしていた。

しかしあの残虐な事件の後に幼い子供が救ってくれた命、マチェリラには自分で捨てる勇気がなかった。

無残に奪われていく命、それを目の当たりにしたマチェリラにとって、あの子たちの手のぬくもりは忘れられなかったのだ。

過酷な試練を与えられたとしても喜びの方が勝っていた。

それでも、辛い。

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