御劔 光の風3
彼女の顔にも見覚えがある、それよりも感覚が彼らを覚えていたようだ。

やがて永の表情が変わる。

視線を向けたマチェリラの手元には貴未のハンカチ、永は貴未と顔を合わせた。

ハンカチを持っている方のマチェリラの手を取り彼女の頬にあて、優しく微笑んで声をかけたのだ。

「涙。」

その瞬間、マチェリラは止まっていた涙が再び流れていることに気が付いた。

貴未と話して止まっていた涙が永を見たことで溢れ出す。

目の前にいる二人は間違いない、あの時の子供だとマチェリラは確信していた。

あれからかなりの月日が経っている、マチェリラ自身何回も姿を変えて人生を過ごしてきた。

しかし彼らはあれから少ししか成長を遂げていない。

その速度はマチェリラと似ていた。

また出会えた事は運命だろうか、嬉しさから涙が止まらないのだ。

「私は永、彼は貴未。あなたの名前は?」

涙を流すマチェリラに永は優しく声をかけた。

涙で声が震える、マチェリラは深呼吸をして答えた。

< 151 / 729 >

この作品をシェア

pagetop