御劔 光の風３

「マチェリラ。」

それは遠い昔に捨てた名前、マチェリラは自分の本当の名前を久しぶりに口にした。

「マチェリラ？綺麗な名前！」

今のマチェリラと貴未、永は同じくらいの年齢だった。

それが余計に親近感をよんだのだろう、未だ涙が止まらないマチェリラを永は優しく抱きしめた。

背中に手をまわし、ゆっくりと優しくぽんぽんと叩いてやる。

まるで大丈夫と守るように温かい心が伝わるようだった。

マチェリラは同じ様に背中に手をまわし、しっかりと永の体温を感じとる。

救われたような開放感、それが二人との二回目の出会いだった。

それから三人は何度も会って交流を深めていき、やがてマチェリラは二人からカリオの話を聞かされる。

二人は調査の為にここに来ていること、二人揃わないと空間を飛ぶ力を発揮出来ないこと。

カリオは秘密の世界だということ。

楽しい時間はあっという間に過ぎていき、やがて二人との別れがやってきた。

寂しいけれど仕方がないことだと、マチェリラは笑って二人を見送ることにしたのだ。