御劔 光の風3
また会えたらいいな、そんな希望が持てるだけでも幸せだった。

そして、あの事故が起きる。

貴未は一人、シードゥルサに飛ばされてしまった。

永は未だに行方不明のまま。

「私の命を救ってくれた貴未と永、私にとってかけがえのない存在なの。彼らを巻き込みたくない!」

マチェリラの口調はいつになく強い、眼差しもまっすぐカルサに向けられていた。

それだけで溢れんばかりの強い思いが伝わってくる。

「カルサトルナス。貴未を解放して!」

カルサは何も答えなかった。

ただ黙ってマチェリラに向き合っているだけ、逃げずにぶつけられる感情を受けていた。

「カルサトルナス!」

叫びに近い声が部屋中に響き渡る。

カルサは目を伏せるとゆっくりと口を開いた。

「カリオは歯車の世界か。」

急に温度差のあることを呟かれマチェリラは思わず聞き返した。

「カリオは時を支配する世界、運命を操る世界だ。」

「何が言いたいの?」

< 153 / 729 >

この作品をシェア

pagetop