御劔　光の風３
白く大きな竜、長く伸びた身体は尾の先まで光を帯びている。

白い鱗に銀色のたてがみ、透き通るような紫色の瞳が眩しそうに目を凝らして貴未を見つめる。

「紫色の瞳…。」

まっすぐ自分を見つめるその瞳に貴未は自由を奪われた。

そして思い出す。

その瞳、その身体、いま目の前にいるのは幼い頃に出会ったあの竜ではないのかと。

「オフカルスの神官であった私は未来のこの世界に飛ばされた。」

竜の方から声が聞こえる、貴未は辺りを見回しマチェリラの姿を探したが彼女は居なかった。

「傷だらけの私の身体を二人の子供が癒してくれたの。」

その言葉をきっかけに貴未の視点は一ヶ所に定まる。

それは目の前にいる白く美しい竜、声は確かに竜から聞こえていた。

「彼らのおかげで私は生きる気力を与えられた。自分の足で立つことができた。」

白い竜は再び光を放つ、眩しさで目を逸らした貴未が再び目を開けた時にはその姿はなく、あったのは銀色の髪と紫色の瞳の女性だった。

「でも人と生きる長さが違う私はまた疲れ果てて、くじけそうになったの。」

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