御劔 光の風3
目の前にいる女性、その正体が誰かが分かった。

さっきまでとは姿が違う、顔が違う、声も違うが雰囲気は変わらなかった。

「マチェリラ。」

湖の上に浮いていた彼女はゆっくりと岸へ、貴未へと近付づいてくる。

今までの彼女よりかは少し年上に、幼さはなく落ち着いた雰囲気を持つ大人の女性がそこにいた。

「私が生きる気力を失ったとき、貴方たちが現れ二回も救われた。」

貴未の前に立った彼女は貴未よりも少し背が高かった。

いつしか彼女をまとっていた光は消えて、彼女自信の姿を鮮明に現している。

「ごめんなさい、人に合わせる為に死んだと嘘をついた。でも私は生きてるの。」

初めて貴未と永に出会ったときから、マチェリラはずっと生き続けていた。

その身体の流れはほぼ貴未たちと同じ時間だった。

でも貴未はそれを知らない、流れる時間はどうであれマチェリラは生きて目の前にいる。

「…その姿は?」

「本当の私。姿、名前を変えなければいけなかったから。」

貴未は終始切ない表情を浮かべていた。

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