御劔　光の風３
不安定な意識の中で必死に頭の中を整理する。

貴未は額に手を当て、ただ記憶だけに集中した。

多すぎる記憶、たちまち貴未の息は切れ全身が汗ばんできた。

視線が落ち着かずにさ迷い続ける、口を開けていないと息も出来ないくらいに身体が緊張しているのだ。

頭が痛いがそうも言っていられない。

絶え間なく頭の中に流れてくる記憶、マチェリラの長い人生を早送りで見ているようだが会話も思考も同時に入ってくるので情報量が多かった。

強すぎる刺激に意識が遠退きそうになるが、いくつかの疑問符を生み出し貴未はそれを持ちこたえる。

何かを見つけた。

それは傍で見ているマチェリラにも分かるくらいに表情が違う。

「貴未？大丈夫？」

固まったままの貴未を心配そうに覗きこむが貴未は大きく目を開いたまま動かない。

「貴未？」

「いま…何か…。」

見覚えのあるものを見た気がする、そう貴未は目で訴えた。

何かは分からずマチェリラも目を細め、貴未はまた答えを探して記憶を探る。

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