御劔 光の風3
「フェスラって結構オトコ前なんだな。」

不意に呟いた言葉にマチェリラは目を丸くした。

「マチェリラの兄ちゃん、その話は千羅からも聞いてた。」

千羅からという言葉に話の内容が想像できて寂しげに微笑む。

彼はもう亡くなってしまったのだ。

「竜族って美形が多いの?」

「さあ。でも気位が高くて傲慢よ?」

眉を上げて返す言葉に貴未は吹き出して笑ってしまった。

大丈夫、それくらいの余裕はあるのだとお互いに確認をしあう。

やがて貴未は座り込み、額に手を当てて考え込んでしまった。

さっきまでとは違い厳しい表情はまさに心中を表している。

「ヴィアルアイ、ロワーヌ…玲蘭華。」

視線の先をマチェリラに合わせないまま貴未は次々に名前を口にしていく。

「ジンロ、マチェリラ、沙更陣、環明、バン、フェスラ…時生。シャーレスタン…ウレイ。」

名前を呼ばれる度にマチェリラの中でも彼らの姿が思い出された。

あの日、あの出来事があるまでは何の問題もなく共に過ごしてきた仲間だ。

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