御劔 光の風3
「だからカルサトルナスの許へ来たのかもしれない。」

マチェリラはそう呟くと、貴未の目をまっすぐ見つめて言葉を続けた。

「貴未、全てを信用しては駄目よ。真実なんて、少しの事で見えなくなってしまうもの。」

貴未が怪訝そうな顔をする、まだマチェリラの言葉の真意が分からなかったのだ。

「信じるなら欺かれるリスクをも背負うという事。今までも、これからも。」

「…カルサもか?」

貴未の疑問は予想よりも小さな声だった。

マチェリラは首を横に振り強い眼差しをもってそれに答える。

「一番上が信じられないのなら、そこには明確な正義などないわ。」

風が吹いた。

貴未の顔がいつになく寂しそうなのは気のせいではない。

しかしずっと思っていたことだ、頭から離れなかったことだ。

誰か一人でもそんなことはないと言ってくれたらどんなに楽だったかしれない。

全てを語ってくれた千羅でさえもカルサを擁護するような言葉はかけてこなかった。

そんな顔をしないでくれと、その言葉に全ての思いを込めていただけだったのだ。

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