御劔 光の風3
微弱ながらも助けを求める信号を出し続けていたのかもしれない。
手を伸ばすことができず、ほんの僅かな指先程度を示していたのだろう。
それを見つけられなかったのは自分たちではないのか、貴未はそう思いながら意中の人物の許に辿り着いた。
誰も連れずに一人でいることは珍しい。
そういえばまだ側近の席が空いたままだったと貴未は静かに理解して足を進めた。
その頭の端でナータックのことを思い出しながら。
「よう。」
広い国を見渡せる最高の場所にカルサはいた。
そこは城の屋根の上で、かつてフェスラと戦った場所でもあったのだとさっき知った。
そして気分転換にとよく現れる場所でもある。
こうしてカルサを呼びに来るのは初めてではない、しかしこういった空気は初めてだ。
カルサはいつもここに悠然と立って自分の国を眺めていたのに今日はまだ雪が残る屋根の上で軽く膝を抱えるように座っている。
こんなカルサを見るのは初めてだ。
そしてカルサは自分が現れるのを待っていたということに貴未は気が付いた。
手を伸ばすことができず、ほんの僅かな指先程度を示していたのだろう。
それを見つけられなかったのは自分たちではないのか、貴未はそう思いながら意中の人物の許に辿り着いた。
誰も連れずに一人でいることは珍しい。
そういえばまだ側近の席が空いたままだったと貴未は静かに理解して足を進めた。
その頭の端でナータックのことを思い出しながら。
「よう。」
広い国を見渡せる最高の場所にカルサはいた。
そこは城の屋根の上で、かつてフェスラと戦った場所でもあったのだとさっき知った。
そして気分転換にとよく現れる場所でもある。
こうしてカルサを呼びに来るのは初めてではない、しかしこういった空気は初めてだ。
カルサはいつもここに悠然と立って自分の国を眺めていたのに今日はまだ雪が残る屋根の上で軽く膝を抱えるように座っている。
こんなカルサを見るのは初めてだ。
そしてカルサは自分が現れるのを待っていたということに貴未は気が付いた。