御劔 光の風3
声かけにカルサが何の反応も示さなかったからだ。

「こんなとこで何やってんの?」

一国の王が屋根の上でおサボリですかと、悪態を吐きながら貴未は少しずつ距離を縮めていく。

吐く息が白い、貴未がいない間に雪が降る季節へと変わっていたのだ。

まだまだ雪は降り続けるだろうが今日のこの時を与えるように雪は止んでいる。

「まあ…そんな所だ。」

貴未の言葉に答えるため苦しまぎれの笑みを浮かべてみせるが、カルサはすぐに合わせた視線を景色の方へと移してしまった。

まるで逃げるよう、やはりマチェリラの言うようにカルサは貴未に対して戸惑いを隠せなかった。

そう思うと不思議なもので構えていた部分が無くなり、貴未の肩の力が抜けたのだ。

「カルサのこと、だいたい聞いた。」

「そうか。」

貴未の言葉に一呼吸をおいてからカルサは答えた。

そしてそれきり、カルサが自分から話そうとする気配は感じられない。

全てを貴未に委ねたのか、それとも言葉が見付からないのかカルサの口は開かない。

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