御劔 光の風3
捕まった、貴未の澄んだ瞳に射ぬかれたカルサは考えるより先にそう頭の中で処理をする。

不安定な体勢は全く動けないのだ。

「俺はカルサじゃないから全部は分からないけど。」

貴未の脳裏にマチェリラや千羅から聞かされた出来事が過る。

聞けば聞くほど身体の力が入らなくなった、目を見ていられなくなった、耳を塞ぎたくなった。

それはあまりにも残酷で悲劇だったのだ。

思い出すだけで身体が震えてくるほどに胸を抉る何かがある、それは恐怖に似ていた。

「義務とか責任とか…重すぎて聞いただけでも押し潰されそうだった。」

切ない声がどこまでも素直にカルサの中に入ってくる。

いつのまにか俯き加減になったカルサは、止まってしまった貴未の声に違和感を覚えて顔を上げた。

そこには変わらずにまっすぐカルサを見つめる貴未がいる。

貴未はカルサと向き合うのを待っていたのだ。

「カルサは今までの自分に自信がない?」

それはカルサが一番聞かれたくない事だった。

答えは一つしかない。

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