御劔 光の風3
「自信なんてある訳がない。」

カルサの目は貴未を見つめたまま、逃げず逸らさずに口が動く。

それはカルサが覚悟を決めた瞬間でもあった。

「あの時俺が死んでいたら助かったんじゃないか。そんな人が沢山いる。」

後悔しているのだろう、苦痛の表情を浮かべ固く握られた拳は溢れだしそうになる感情を必死で抑えていた。

それでは無理だと分かっていても懸命に自分を抑える、それがカルサなのだ。

「救える命を亡くした事も、奪われる筈のない命を落とした事も、全て俺の!」

しかし抑えきれなかった思いが溢れだし、言葉につまったカルサは拳で自分の足を叩きつけた。

重く鈍い音、爪が容赦なく食い込んだのだろう彼の拳からは血が滲み出ていた。

「なんで、カルサなんだろうな。」

冷たい空気に添うように呟かれたこと、それは同情の声ではなかった。

「こんなに人がいるのに…なんでカルサだけ負荷があり過ぎんのかな。」

簡単な疑問、貴未の言葉に対してやはりカルサは簡単な答えを持っている。

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