御劔 光の風3
「行きますか?」

「ああ。」

千羅の問いに短く答えてカルサは眼下に広がるシードゥルサ王国を見つめた。

生まれてから数えきれない程に目に焼き付けてきた景色だ。

「リュナは?」

「置いていく。瑛琳に任せる、千羅は一緒に来てくれ。」

カルサの判断に千羅は頷いた。

急激に動きだした未来は一瞬でも遅れたら先がないような気がした。

これからやらなければいけない事を頭の中に組み立てて順番に道を作っていく。

先走っても出遅れてもいけないのだ、一番の道筋を見付けて組み立てなければと自身を引き締めた。

「カルサ、俺も行く。」

貴未の声にカルサは振り返った。

どこまでも真剣な眼差しは言葉が足りなくても目的地は分かっている、彼とはもう対等だ。

「分かった。」

カルサの答えは短い。

向かう先はかつて訪れたオフカルス、因縁と鍵がある御劔の総本山だった。

「忙しくなる、千羅はナルの所へ。貴未は聖たちの所へ頼む。」

そして動きだした。

カルサは再び視線を外に向ける。

目に映るもの全てこの手の中で守りきってきた、これからも守り続けていく。

何かを心の中で呟き、手を胸に当てて誓う。

千羅と貴未、マチェリラが見守る中それは行なわれた。

そして全員で城の中へと戻る。

冷たい風が通り抜けた。




御劔 光の風 <カラクリの国> 了
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