御劔　光の風３
エプレットと対面する前にハワードは今回の配属に関しての経緯をカルサに伝えていた。

それにはナータックが関わっており、以前からナータックがエプレットを教育していたというものだった。

何かを予感していたのだろうか、それとも彼には彼の思うところがあって動き出したのかは今はまだ分からないがナータックは側近になる為にエプレットを教育していたのは事実としてここにある。

あの事件が起こる前、ナータックはハワードに直々に願い出ていたのだ。

「私に何かあった時は後任としてエプレットという人物を陛下の側近に配属していただけないでしょうか。」

突然の申し出にハワードは驚きを隠せなかった。

病か何か事情があるのかと問うたところナータックは首を横に振って何もないと答えたという、しかしもう一度同じ言葉を繰り返したのだ。

「私の独断でエプレットを育てています。特殊部隊に所属しており、勿論特殊能力を扱えます。彼の人となりも側近として働くには適していると判断しました。彼なら主人の心の支えにもなるでしょう。」

淡々と話しているが計画性を感じられてハワードは目を細めた。

裏切るつもりなのか、長年共にした主人をこの状態までにして突き放すつもりなのか。

カルサが完全にナータックを信頼していることは明白だ、それを利用して傷付けようというならハワードも容赦はしない。

過去の側近たちのようなことにはしたくはないのだ。

疑惑の念がナータックに向けられる。

この男はそこまで器用に人を陥れることが出来るとは思えなかったが。

「退くつもりなのか？」

一つだけ確認したくてハワードは尋ねた。

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