御劔 光の風3
「今日はもう下がっていい。」
執務室に向かい廊下を歩いている中、カルサが後ろを歩くエプレットに告げた。
まだやらなくてはいけない仕事はあるが朝までには仕上げておくというのだ。
「朝は私用で席を外す。ナルの所に行くが付き添いは無用だ。」
「…はい。」
納得が出来ないといった様子でエプレットからの返事がくる。
あからさまな反応は無視することが出来ない、ため息交じりでカルサは口を開くことにした。
「不満か?」
一応語尾が上がっているものの、それは独り言のように低い声でエプレットの反応が遅れる。
「い、いえ!」
見透かされたような言葉にエプレットは慌てて否定はするがカルサは何も気に留めていないようだった。
不安になりながら斜め前を歩く主人の様子を窺うが、やはりいつも通り淡々としているものだ。
「不在の間はサルスの補佐をするといい。何かあればサルスに聞け、じゃあな。」
そう言い残すとカルサは執務室の中へ入り、切なくも扉はエプレットの返事を消す様に閉ざされた。
雪が降り続く夜は静寂を生み出し力なく零れたエプレットのため息を包み込む。
就任してもう何度目か数えきれないほどため息を吐いた。
エプレットとしては誰にも気付かれないようにしているつもりだったが分かりやすい彼の態度にカルサは気付いている。
足元に目を移すとどうしようもない脱力感に襲われエプレットは動けなくなった。
「ナータックさんはどうやってたんだろ。」
胸にしまっておくことも出来ずエプレットの口から零れたため息交じりの言葉、本人は声に出ていたことにも気付いていない。
執務室に向かい廊下を歩いている中、カルサが後ろを歩くエプレットに告げた。
まだやらなくてはいけない仕事はあるが朝までには仕上げておくというのだ。
「朝は私用で席を外す。ナルの所に行くが付き添いは無用だ。」
「…はい。」
納得が出来ないといった様子でエプレットからの返事がくる。
あからさまな反応は無視することが出来ない、ため息交じりでカルサは口を開くことにした。
「不満か?」
一応語尾が上がっているものの、それは独り言のように低い声でエプレットの反応が遅れる。
「い、いえ!」
見透かされたような言葉にエプレットは慌てて否定はするがカルサは何も気に留めていないようだった。
不安になりながら斜め前を歩く主人の様子を窺うが、やはりいつも通り淡々としているものだ。
「不在の間はサルスの補佐をするといい。何かあればサルスに聞け、じゃあな。」
そう言い残すとカルサは執務室の中へ入り、切なくも扉はエプレットの返事を消す様に閉ざされた。
雪が降り続く夜は静寂を生み出し力なく零れたエプレットのため息を包み込む。
就任してもう何度目か数えきれないほどため息を吐いた。
エプレットとしては誰にも気付かれないようにしているつもりだったが分かりやすい彼の態度にカルサは気付いている。
足元に目を移すとどうしようもない脱力感に襲われエプレットは動けなくなった。
「ナータックさんはどうやってたんだろ。」
胸にしまっておくことも出来ずエプレットの口から零れたため息交じりの言葉、本人は声に出ていたことにも気付いていない。